昔、舘村のある嫁っこがややこ(こども)をなしたが乳が出ず、ややこは泣いてばかりいだど。
嫁っこは毎日、神さま、仏さまに祈願したど。
ある朝、畑仕事に行くとき、五輪塚の清水を見て乳の出ない我が身をなげいだど。
その夜のこと、嫁っこの夢枕に二体の地蔵様が現れ、「我々は五輪塚の清水のほとりに埋もれている双体地蔵なり。廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)により池のほとりに埋められてしまったが、早く現世に戻りたい・・・」といって消えたど。

11800627_1626150180965347_1172314873330604439_n嫁っこはハッと驚いて目がさめ、亭主とその場所に行って掘ったら、お告げの通り二体の地蔵様が現れ、それを洗い清め安置して清水をそそぐと、たちまち嫁っこに乳が出るようになったそうだ。
それ以来、村中の女の子たちはそこを通るたびに清水を注ぐようになり、地蔵様は乾く間がながったど。
※廃仏毀釈
明治維新直後に神道立国を掲げた頃の、仏教排斥運動のこと。